マンション査定の存在意義
十か所の備蓄基地に眠る原油は約四千八百六十一万キロリットルだが、タンクの容量を東京ドームに置き直すと約四十個分に相当する。
原油代は単純に現在価格で試算すると約八千三百億円に達する。
実際には高値で購入した原油もあって一兆円以上になる。
また、民間の石油会社が担う民間備蓄には政府の利子補給もあるが、それでも年間一千億円以上のコストがかかっているとされる。
費用は原油代だけではない。
建設費などの総事業費が一基地当たり一千億円から四千億円かかるから、全体の費用は二兆円規模という巨大な、まさに国家プロジェクトというのにふさわしい事業である。
しかし、石油備蓄は見方を変えれば壮大な無駄ともいえる。
現在の市場原理の立場からすれば、まったくソロパンに合わない、不合理な面を持つ。
通常の安定供給のためには、備蓄は多くて四十五日分程度あればいいからである。
それでもIEAが加盟国に九十日備蓄を義務付けたのは、安全を確保するためには、マーケットだけを頼りにはできないと判断しているからだ。
だが、その「安全」が今、少しずつ、危うくなってきている。
アジアの石油消費量の増加が危機的な状況を醸し出してきているのに、アジア地域には危機対応体制はあまりない。
備蓄についてはないに等しいのが現状となっている。
経済発展が著しい韓国。
OECD加盟を実現、IEAへの加盟をも模索するが、その見通しは立っていない。
韓国にとって、IEAの備蓄義務は難しい目標なのだ。
韓国は約六十日の備蓄を持つとされているが、その後がなかなか進まない。
国内消費量が急速に伸びるため、比例して増える必要備蓄量が追い付かないからで、目標達成のめどは立っていないという。
台湾も同様の備蓄レベルで、それもかつては九ト日の備蓄義務を石油会社などに課していたが、需要増から備蓄が追い付かず、現状に合わせる形で備蓄義務を軽減してしまった。
このほか、タイは独自の小規模の備蓄制度を持つが、シンガポール、マレーシア、中国、インドネシアなどは備蓄制度そのものがない。
中国は輸出入差し引きで輸入が輸出を上回る純輸入国になったが、産油国でもあることはまちがいなく、当面の備蓄は必要ないとされる。
しかし、二十一世紀の早い段階には日本並みの輸入国になることが予想され、緊急用の備蓄がないことは今後の経済発展にとっても致命的であり、ようやく備蓄への関心を高めてきている段階になってきた。
東南アジア地域でも同様で、IEAにならう形で東南アジア諸国連合は、ASEAN石油保障協定を結び、緊急時には相互融通を実施することになっているが、ベースとなっている備蓄制度が未整備であり、実際に機能するかどうかが危ぶまれているのが実情だ。
こうした状態で、第三次危機的状況が発生した場合どうなるのか。
アジアで混乱が生じた場合、これをよそに日本一国だけが安定を享受することになれば、複雑な事態に追い込まれることになりかねない。
予想されるアジア発の危機はこうした面からも懸念材料になっている。
また、日本自身にとっても、備蓄問題は終わった訳ではない。
九七年度五千万キロリットル体制を整えたあとをどうするのか。
国家備蓄五千万キロリットル、それに民間備蓄の約四千六百万キロリットル、合計ざっと一億キロリットルの石油を持つといっても、原子力発電が年間に生み出すエネルギーは石油換算で六千八百万キロリットル相当。
原子力がなければ全体の備蓄の七割程度を一年で食いつぶしてしまう。
原子力あってこそ、備蓄の意味があるというのも現実の一面だ。
経済同友会は、「不断の潜在的エネルギー危機に備えよ」というタイトルの報告書をまとめた。
報告は「アジア・太平洋地域において、中東石油の確保をめぐる戦略的な激しい争いが展開されることも予想される」と厳しく警告している。
備蓄がアジアでも関心を高め始めてきているのは事実だ。
韓国が国家備蓄を含めて九十日を目標として掲げ、動いている。
しかし、アジア全体でみると、需要が伸び出したのは、ここ十年ぐらいの問であり、韓国、中国、台湾、それにタイなどが輸入を加速させている。
ところが、これらの同・地域は第一次、第・一次の二つの危機を深刻な形では経験していないところが多い。
影響は斗との関係が緊張関係にあり、石油をきちんと戦略商品と位置付けていることも大きく作用しているのだろう。
石油は現在、普通の国際市況商品の性格を強めていることは事実だが、戦略商品の側面も残しているのだ。
実は緊急の時、日本だけが十分な備蓄を持っていることが問題だ。
その解決には日本がアジアの備蓄問題にもっと積極的に関与していく必要がある。
石油公団が開いているアジア向けの備蓄セミナーはその意味で評価されていい。
しかし、問題は端緒についたばかり。
石油に関する情報すら不透明なのがアジアの実情。
APECでその重要性が認識され、日本にエネルギー情報に関するAPERCも設置されている。
日本が備蓄問題で前面に出ることは資金負担を期待されるだけに難しい面もあるが、政府開発援助の活用を検討してもいいし、技術援助については問題なくできる。
アジア共同で備蓄基地を設置する案もあるが、「安全」の観点から異論も多く、各国・地域が独自の備蓄政策を展開することに日本が側面から援助・協力していくのが現実的なのかもしれない。
それがアジアの、ひいては日本の「安全」にもつながるといえそうだ。
火付け役は「世紀の契約」国際エネルギー情勢は石油の需給緩和を中心に比較的安定している。
石油開発問題などは消えてしまったかのようにさえ見える。
アラビア石油の利権延長交渉の失敗もあまり大きな関心を持たれていないのが現状だ。
しかし、こうした情勢をよそに、かの中央アジアのカスピ海周辺では、石油・天然ガスを巡つての儲烈な「資源争奪戦」が繰り広げられているという現実がある。
この事実は将来、国際政治情勢にも無縁でなくなる可能性が高く、予想される第三次石油危機の到来という問題にも大きく関係してきでいるということができよう。
一方、この問題、つまり広くエネルギー問題に関する日本国内での議論はどうか。
今、懸命に議論が展開されているのは、経済構造改革に絡めて、石油・電力ガスなどのエネルギー価格の引き下げを目指して、エネルギー関連の規制緩和をいかに急速に進めるか、という点に集中している。
悲劇的なほどの問題意識の落差といったらオーバーだろうか。
いずれにせよ、悠長ともいえる日本の情勢をよそに、はるかカスピ海周辺では二十一世紀のエネルギー確保に向けて国際石油資本が着々と油・ガス田の開発を進めていることはまちがいない。
これは日本でももっと真剣に検討されてしかるべき問題であり、この動きは日本のエネルギー情勢に対す現在の弛緩した意識に対する一種の警告ともいえる。
石油情勢を考える場合、アジアの経済の動向を無視することはできない。
アジアにおける石油急増はアジア経済の停滞で一時的なブレーキがかかっているものの、中国が石油の純輸入国に転じたことが象徴するように、今後も傾向としてはその石油需要増は止まることは原則ないと断言していい。
その中国では同国油田の中核となっている大慶油田が、大洪水で水浸しとなり、予測外の供給面からの問題を生み出す結果となっている。
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